関東地方から福島県東部にかけて分布する止水性のサンショウウオで日本に10種類以上いるサンショウウオ属のうち千葉県にはこの種だけが分布します。1月から4月上旬に田圃の脇の流れがほとんどない側溝や林の中の水たまりに産卵します。メスは一冬に1対の三日月型の卵のうを水中の枯れ枝などにくっつけて産み、その中に平均130個ほどの卵が入っています。この卵のう膜は丈夫で乾燥にも強く、半分水面に出ているような状態で観察されることがよくあります。
幼生は3対の外鰓をもち、ほおには止水性のサンショウウオの特徴である1対のバランサーがあります。自分の口に入る大きさの餌なら何でも食べ、共食いも珍しくありません。やがて、鰓の下に前足、次いで後足の突起が出てきて歩けるようになり、鰓がなくなると上陸します。その後は土壌動物を餌とし、産卵期以外は水に入りません。このため、トウキョウサンショウウオが住むためには成体の住みかとして湿潤で餌の豊富な森林と、産卵後幼生が生活するために夏まで残る水たまりが必要です。近年、里山の開発によって休耕田が増え、斜面林は減少していて東京都や神奈川県では危機的な状況になっています。